【現役デザイナーの実録】クライアントの本音を引き出し、信頼を獲得するコミュニケーションメソッド!

「クライアントの要望通りにデザインしたつもりなのに、大幅な修正依頼がきてしまった」

「なかなかリピートにつながらない」

クライアントと仕事をする中で、上記のような課題を抱えていませんか?

これらの課題は、コミュニケーションの方法を少し変えるだけで、一気に改善する可能性があります。

僕はデザイナー歴10年で、LPやバナー、チラシ、ロゴ、パッケージなど、さまざまな案件に携わってきました。

おかげさまでリピートや紹介も多く、今年度は念願の法人化も達成できました。

そんな僕がデザイナーとして何よりも大切にしているのが、クライアントとの丁寧なコミュニケーションです。

丁寧なコミュニケーションによってクライアントの本音を引き出すことで、クライアントが求めているデザインをより明確に言語化でき、納品物に落とし込めるからです。

また、丁寧なコミュニケーションを通じてクライアントに安心してもらい、より信頼感を高めることも可能です。

この記事では、僕が日々実践しているコミュニケーションのメソッドについて、過去のクライアントワークを振り返りながら解説していきます。

この記事はアドビ社のPR企画「みんなの資料作成」に参加して執筆したものです。

「相手の本音を引き出しながら信頼を得る」コミュニケーションスキルは、提案書や企画書を作成する場面はもちろん、人と関わるあらゆる仕事で役立ちます。

ぜひ現役デザイナー流のメソッドを参考にしていただければ幸いです。

丁寧なコミュニケーションのコツ2選

1.初回の打ち合わせで課題を引き出し、方向性を決めていく

何事も最初が肝心と言われているとおり、僕自身もクライアントとの関係構築のために、初回の打ち合わせ(キックオフミーティング)から初稿の提出までを特に重視しています。

ただ、自分は田舎に住んでいるため、打ち合わせとなるとオンラインになることが多いです。オンラインは対面よりも先方の表情や場の空気といった非言語の情報を得にくく、先方の意図をくみ取りにくい場合があります。そのため、キックオフミーティングから初稿までいくつかの点を心掛けています。

まず、デザイン案件のMTGについては以下の点を心掛けています。

・キックオフMTGは必ず行う
・まず最終の目的やターゲットを伺い、そこから話を広げていく
・一緒に課題を考えて、解決策を導き出したいので、形式的なヒアリングシートは使わない
・曖昧な表現や決め事は避ける
・MTGをしながら、必要事項はメモをとり、MTG後ではなく最中に確認する
・初稿作成のために必要な情報を伺い、初稿を叩き台として詳しく話を進める

デザイン案件の流れは、以下のとおりです。

1.案件受注
2.キックオフMTG(30分目標)
3.初稿(3営業日で作業が出来る範囲を決める)
4.初稿提出後、改めてMTG(ここで1時間くらい取る)
5.方向性を定めて全体の初稿作成・提出
6.全体の確認後、改めてMTG(ここでも1時間ほどMTG)
7.修正&完成後に納品

僕の場合、お客様に早めに初稿をお見せしてデザインのイメージを共有したほうが、お互いに効率がよく、課題解決にも導きやすくなると感じています。

したがって、キックオフMTGでは「最終の目的」「ターゲット」「初稿提出日」のみ決めて初稿の制作をスピーディーに進めます。

そして初稿の提出時に「デザイナー視点からのカラーや素材、フォントの提案」「課題解決のために必要なこと」を提案します。

デザイナーさんによっては、キックオフMTG時にカラーや素材、フォントを決めたり、参考画像をもらったりするかもしれません。

もちろんその方法も良いと思いますが、僕の場合は長年に渡り様々な案件を行ってきた結果、キックオフMTGでは上記の3点に絞ってヒアリングするのが自分にとってベストだという結論に至りました。

そして初稿提出後にプロとしての目線でプレゼンし、お客様の課題をより具体的に深掘りしていきます。

一般的にMTGは30分枠か1時間枠で設定されることが多いため、キックオフMTGは30分目標で、初稿提出後のMTGではしっかり1時間とることが多いです。

2.チャットで信頼感を高める

先述の通り、僕は田舎に住んでいるため10割オンラインで仕事をしています。そのため、オンラインMTGはもちろんチャットでのコミュニケーションも重視しています。

お客様に信頼していただき、安心して仕事を任せてもらうために僕が特に意識しているのは以下の2点です。

・返信はなるべく早くおこなう

一番心掛けているのは、返信はなるべく早くおこなうということです。簡単なようですが、実際に出来ている人は案外少ないのではないでしょうか。たとえその場で確認できなくても、「3時間後に確認します」など、すぐにアクションを起こすようにしています。

・聞かれた内容の答えは必ず含める

クライアントに何か質問されたら、その質問への答えは必ず返信に含めるようにしています。

そんなの当たり前なのでは?と思う方もいるかもしれませんが、どう答えたらいいのか判断しかねる質問の場合、つい質問で返してしまいがち。

しかし、そうするとクライアントとしてはやりとりが増えますし、「質問に答えてもらえなかった」というフラストレーションを抱いてしまうことにもなります。

返答を決めきれない場合は、現時点で答えられる範囲で答えるようにしています。その際にポイントとなるのが、先方の質問の意図を予想し「Aの場合は●●、Bの場合は▲▲となります」など、複数パターンの回答を提示すること。そのうえで「もう少し詳細をお伺いしてもよろしいでしょうか?」などとお伝えするようにすると、先方からの情報共有と合意形成がスムーズに進みます。

丁寧なコミュニケーションによって得られるメリット

1.クライアントからの信頼が高まる

丁寧なコミュニケーションを通じてお客様の本音を引き出すことで、お客様がうまく言語化できていなかったニーズをくみ取ることができます。

すると、お客様の期待値以上の制作物を納品できることになり、信頼度アップにつながります。

また、こまめにコミュニケーションすることで、「このデザイナーはしっかり案件を進めてくれている」「こちらの意図をくみ取ろうとしてくれている」と安心してもらえる面も大きいです。

2.作業スピードがアップする

お客さまと丁寧にコミュニケーションをすると、先方の意図をしっかりくみ取れます。

すると、作業に迷いがなくなるので作業スピードが上がりますし、提出後の修正も少なくなります。

作業効率がアップすることで、お客様からの信頼度がより高まることも期待できるでしょう。

3.リピートや紹介案件に繋がる

コミュニケーションを大切にすることでクライアントからの信頼が高まった結果、リピートに繋がるのもメリットです。

初めはページのデザインだけのご依頼だったものが、納品時には「今回のページデザインでとても安心して任せられると判断しましたので、バナーやロゴも作っていただけませんでしょうか?」と次の仕事に繋がることも多々あります。

また、継続してリピート案件をくださるクライアントも多くいます。毎月10本のバナー作成や、3ヶ月に1回のページのデザイン改修など、定期的に仕事をいただいています。

さらに、クライアントが他社に僕のことを紹介してくださることもあります。デザイナーとして、こんなに嬉しいことはありません。

丁寧なコミュニケーションで成果をあげたデザイン事例集

【事例1】明浜みかん

イベント等で使う看板やポスターで使う紙面デザイン

先方からは飲食のイベント等で使う「それを見たお客さんが気になって足を運んでくれるような看板・ポスターが欲しい」というご相談を受けました。

僕からは、「お客さんにどんな印象を抱いて欲しいのか」「紙面に入れたい内容やこだわりを決めましょう」とお伝えしました。

その中で「愛媛県の明浜みかん」「食品なので信頼感」という伝えたい内容や課題が見えてきたため、「信頼感が持てるような、かつ愛媛の自然とみかんが両立できるデザイン」を制作することになりました。

そのためには、「飲食のイベント」にマッチしながらも「行政イベントに関わっても問題ないレベルの信頼感」を演出する必要がありました。

デザインとして「県名と産地、イメージロゴは独立させる」「商品名は遠くからも読める大きさで、足を運んでくれた人には読ませて信頼感を与えるために小さく文章を配置」を意識して組みました。

結果、上記のようなデザインが完成しました。作って数年経ちますが、今でもイベントに足を運ぶと使ってくださっていて、とても嬉しく思っています。

お客様からも高く評価していただけて、追加で以下のようなミカンと自然をイメージしたTシャツもご依頼いただきました。

【事例2】竹中金網株式会社

工業用金網製品の製造メーカーの意匠用金網のHP

こちらの案件では、意匠用金網の特設ページを作りたいとご相談を受けました。ご相談時にはパンフレットの情報があるだけで、構成等はお任せしたいということでした。

ご要望としては「工業用の金網ではなくデザイン性の優れた建築物やオブジェクトであることを伝えたい」「いくつか種類があるので、視覚的にわかりやすくしてほしい」とのことでした。

デザイナーの観点からいうと、このような専門的な商材はかなり難しい分類のお仕事になります。まずデザインの要素の前に商品について理解を深めた上で、なるべくクライアントに近い指数まで理解度を高めなければ、最初のMTGすらままならないことが多いからです。

今回の場合は、パンフレットが既にありましたので、そちらを熟読した上で、実際に商品が使用された建築物のリサーチを入念におこないました。地元の建築物にも使用されているという話を聞き、現地にも赴きました。

そうすることでやっとデザインに必要な情報が整理できます。十分に商品理解を深めてからMTGに臨んだため、先方からは「そこまで調べてくださったんですか!」と喜んでいただけました。

商品理解を通じて先方の課題も見えやすかったので、構成の作成もスムーズに進んだと思います。

デザインにおいて、情報整理から構成作成までが成果やクオリティにつながる重要な部分だと思っているので、認識齟齬のないよう特にコミュニケーションに気を配っています。

その後はいよいよデザインです。

今回、先方からは「金網の種類の差を視覚的に表現したい」「デザイン性に優れている点を伝えたい」というご要望をいただいていたため、金網の種類ごとにテーマカラーを決めて配色しました。

一般的に色数が多いとデザインをまとめるのが難しいとされていますが、企業のコーポレートカラーである藍色に合う色を選ぶことで統一感を出しています。

クライアントとの密なやりとりに便利なツール

僕はキックオフMTG直後から、高頻度でラフや進捗を確認してもらい、方向性がずれないように意識しています。デザインのチェックには、どんなデバイスでも表示できるPDFファイルを利用します。その際に便利なのが、無料のPDFツール「Adobe Acrobat オンラインツール」です(回数制限あり)。

Acrobat オンラインツールはPDFに関する様々な機能が揃い、特に僕がおすすめしたいのが「PDFを編集」です。リンクでPDFを共有して、複数人で同時にコメントを入れられる機能で、デザインのフィードバックを受けるときに重宝しています。

フリーハンドでもコメントを入れられるので、ピンポイントに指摘してもらいやすいのも助かっています。

確認の工数がお互いに軽くなり、スピード感を持って進行できるようになりました。

ラフのPDFをメールやチャットツールで納品する際は「PDFを圧縮」でファイルサイズを軽くして、先方のダウンロードの負荷を下げています。

また、「PDFを保護」でパスワードを設定し、セキュリティにも配慮するようにしています。

デザインそのものにこだわるのはもちろん、こうしたやりとりの一つひとつを丁寧にすることで、案件全体の満足度アップにつなげられるのではないでしょうか。

丁寧なコミュニケーションで、デザイン案件を成功に導く

本記事では、僕がお客様と信頼関係を築き、お客様の課題を解決するために意識しているコミュニケーションのメソッドを紹介しました。

丁寧なコミュニケーションは、クライアントのニーズを正確に把握し、期待以上の成果を出すための最短距離です。この記事がお客様との信頼関係を高めるお役に立てれば嬉しく思います。

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